エルヴィス・オン・ステージ スペシャルエディション
私が子供の頃に、母が毎日のように聴いていたのは
プレスリー、越路吹雪、アリス。
この一見全く結びつかない感じのミュージシャンによって
私の「ごった煮」的な音楽の好みは形成されたといってもいい。
その中でも最重要アーティスト、「キング」と総称され
今でもアメリカ人にとっては大事なミュージシャン、
エルヴィス・プレスリー。
プレスリーといっても、聴いていたのは
スタジオ録音された音源ではなく、このラスベガスのライブ音源。
それこそ、曲順も観客の歓声、プレスリーの息づかいまで
「覚えさせられる」くらい毎日聴いていた、いや聴かされていた(笑)
聴かされていたといっても、全然イヤではなく
子供心にもオープニングのワクワク感と
後半の盛り上がりがお気に入りだったのを覚えている。
そんな彼のベガスでのライブ映像が、
デビュー50周年記念だということで、デジタルリマスター版として
劇場公開されるというので観に行ってきた。
もちろん、「私も行きたい」という母と一緒に。
この作品は日本で1971年に公開されて、当時空前の大ヒットになったそうだ。
パンフによると、
会場となった「インターナショナルホテル」の大ホールは4100人収容可能、
ここを満員にしたのは、この時のエルヴィスだけなんだそうだ。
今は、アリーナクラスのスタジアムで行われるライブが多く、
キャパは万単位なので、楽勝じゃんと思うかもしれないが、
このホテルでプレスリーがライブを行ったのは
1970/8/10〜同年の9/7まで、約一ヶ月弱。
おそらく、連日満員って意味でしょう。
そう考えると結構偉業としか考えられない。
やはり「キング」です(笑)
前半は、MGMスタジオでのリハーサル風景から始まる。
プレスリーの服がまず、スゴイ(笑)
映画を撮ることを知っているからだろうけど、
リハーサルに、おそらくシルクであろう生地で極彩色なシャツブラウス。
ごってり装飾のベルトに細かいストライプの黒いパンツ。
この人しか着こなせないスタイルだと思う...。
しかも似合ってるんだから、ある意味凄い。
他にも日にちを変えて撮影してるので、いろいろな服装にお目にかかれる。
インパクトがあったのは、赤色で、袖の途中でシャーリングがあって
袖口がヒラヒラのシャツブラウス(!)王子・貴公子も真っ青な感じ。
もちろん、ステージの衣装のハデさは言うに及ばず。
リハーサルはまず、主要バンドメンバーとのラフな音合わせから。
とはいっても、結構力は入っていて
汗だくになって唄ったり、身体を動かしていたりした。
まだ、コーラスもホーンも入っていないので音的には物足りない。
こういったリハーサル風景から、コーラス隊の音合わせ、
ホーン隊も入ってのリハーサル、舞台でのリハーサルと
少しずつ作り込まれていく感じが興味深い。
プレスリーの音感にびっくりさせられたのもこのリハーサル風景だった。
通常、ピアノとかから音を拾って音を合わせていくのだろうけど
彼は自ら声で音を発し、そこから合わせていく。
ボーカルにしてバンマス。
それで音が外れてないのだから、びっくりなんである。
ひょっとして、絶対音感の持ち主だったのか?
ルックスも含めてファンの方には申し訳ないけど
私は、プレスリーの顔は
実をいうとあまり好みじゃない。
あくまでも音楽センス、そして声。
決してレコードやCDからはうかがえ無いプレスリーの才能を見た気がした。
ライブ映像はやはり、「さすが」。
曲を演奏するまでのMCも上手い。
特に「Hound Dog」なんかはユニーク。
そして、ファンサービスがスゴイ。
今じゃ、考えられない行動をごく当たり前にしているのがスゴイ。
「Love Me Tender」超有名なバラードだけど
ここではプレスリー、殆ど唄わない。
マイクを通して聞こえるのは「チュッ」というキスの音だけ(笑)
舞台最前列にやってくる女性ファンに一人ずつキスをする。
しかも頬ではなく、唇にだ。
しまいには、自ら舞台を降り、客席を行脚して
出会う女性なら年齢に関係なくキスの嵐。
そんなにしたらタラコになっちゃうよ〜と、余計な事を考えてしまった。(^^;
プレスリーも凄いけど、ファンも偉いのね。
そんなに殺到する感じでもなく、列作って待ったりしちゃってるから
お行儀いいんだもの。
上の方の客席には「行けなくてゴメン」と謝ったり。
とうとう、日本には来なかった人だけど、
これ、日本でやったらどんなことになってたんだろう....。
私は、ライブ音源で育っているので
正直、スタジオ録音されたCDとか聴いてもあんまりピンと来なかった。
でも、このライブ映像を観ると「これこれこれ〜」って思ってばかり。
全体的にハシリ気味になるところも含めて、あの熱気丸ごとを
聴いて育ったんだと改めて実感。
「In The Ghetto」とか「Suspicious Minds」は特にお気に入り。
「Suspicious〜」の盛り上がりなんかは当時実際に体感したかった。
きっとスゴく楽しかったと思う。
冒頭にも書いた「ごった煮」な好み、
これは一番プレスリーの影響を受けていると思う。
R&Rのキングとされているけど、取り上げて唄った歌は
ゴスペルあり、ブルースあり、クラシック、カントリーと幅広い。
ジャンルにとらわれず、いいものはイイというスタンスで選曲し、
それを全てプレスリー色にしてしまう。
やっぱり、「キング」なんですね。
観に行った劇場は、当時青春まっただ中だったと思われる女性が多く、
朝の第一回目だというのに、結構混雑。
二回目は入場の列が出来ていた。
人気者です。
そうそう、当時のエルヴィスは35歳。
彼の中での第三黄金期スタート、男としては絶頂期。
この7年後に突然の死が待っているとは思えない輝き様だった。
ライブ終了後の楽屋には、
ケーリー・グラントの姿と、サミー・デイヴィスJr.の姿が。
他にも当時のセレブが大勢いたみたいだけど、
私が自力で判ったのは、この二人だけ。
このライブを生で満喫できた人、ものすごく羨ましいです。
東劇にて鑑賞。
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