グッバイ、レーニン!
【プロローグと感想】
ベルリンの壁が崩壊する前の東ドイツに住むアレックスは
社会主義に心身共に捧げている母と、姉の3人で暮らしていた。
10年前に父は西側へ亡命したきり、音信不通。
ある日、アレックスは反社会主義デモに参加して捕らえられた所を
偶然母に目撃されてしまう。そのショックで心臓発作を起こした母は
長期に渡り昏睡状態。
母が長い眠りについている間に、ベルリンの壁は崩壊し、
ドイツは統一され、西側の文化が大挙して押し寄せ、
あっという間に変化していた。
そして、突然母が長い眠りから覚めたのだが、
「もう一度強いショックを与えたら、命取りだ」という医師の話。
東ドイツの崩壊は、母にとってショックに違いないと思ったアレックスは
母が倒れる前のままの生活を取り戻そうと、あれこれ手を尽くすのだが.....。
***********************************
結構記憶に新しい、ベルリンの壁崩壊。
リアルタイムで見てはいるけど、
実際にその渦中にあった人たちの生活や考え方なんかは、
やっぱりマクロ単位でしか報道されないマスコミのお陰で
ちっとも知らないままだった。
この映画を観た事で、もちろん全部知ったつもりにはならないけど
無関心からは脱出できたかもしれない。
結構重たいテーマを、時折笑いを入れながら
サラリと描いたこの作品は、
ミニシアター系でかなりの観客動員数があったそうだ。
ドイツの映画って、あんまり馴染みがないけど
こんな作品もあるとは、新しい発見だった。
なんかイメージとして「暗く」て「重い」感じがしちゃうんだもの。
当時の映像なんかも時々入れながら(ゴルバチョフとか懐かしい)話が進む。
1990っていうと、ちょうど作中でも散々出てくるけど
ワールドカップが行われていて、ホスト国はイタリアだった。
この間日本と韓国で行われたワールドカップでドイツ代表の監督だった
ルディ・フェラーが選手として出場してる映像が映ってたけど
あんまり変わってない(笑)
お母さんのためにアレックスが取る行動は、
だんだん加速していき、度を超えて行く。
最初から元々あまり乗り気でなかった姉も怒りだす始末。
どこかでアレックスだって「止め時」を探していたかもしれないけど..。
一度嘘をつくと、それをカバーするために更に嘘をつかないとならないのね。
本当はやっぱり嘘はいけないことだけど、
「いい嘘」ってのも密かに存在するわけで。
アレックスがやったことは、いわゆる「お母さんに対しての嘘」なんだけど
これはやっぱり彼女にとっては「いい嘘」だったはず。
ラスト近くの「素晴らしいわ、アレックス」という彼女の表情からは
既に全てを知っているんだなってことも判る。
だって、「素晴らしいわ」っていいながら、画面を見ずに
アレックスの後ろ姿を、愛おしく見てたものね。
文句をいいながらも協力する姉や姉の夫、近所の人。
でも何より、一番の協力者はお友達のデニス。
彼のある意味オタク的なシュミが、かなりな武器になっていた。
結構手の込んだものを作るのに、一切アレックスに金品の報酬は求めずに
「感想聞かせてくれ!」だけとは(笑)なんていい奴なんだ。
壁の崩壊=東ドイツの崩壊な訳で、
東ドイツの社会主義体制で高い地位にいた人たちの悲哀も描かれる。
クラプト校長、元宇宙飛行士・シグムド・イェーンらは
崩壊前と後のギャップに戸惑いを隠せない。
アレックスにとってのヒーローだったイェーンが
タクシー運転手として働いている姿は、多少なりともショックだった。
でもそれなりに、イェーンも現実を受け止めているらしかったので
ほっとしたけども。
タイトルにあるレーニン像が、ヘリでお母さんの前を通り過ぎるシーン。
とっても、シュールだった。
お母さんが見た時のショックと、母が外へ出てしまった!っていう
姉と弟のショックを考えると、とても笑えないんだけども
やっぱり、映像としてはちょっと笑ってしまった(^^;
重いテーマを描いているけど
観終わった後は、なんかサワヤカな気分になれる、
そんな作品。ヒットしたのも判ります。
【キャスト】
さて、馴染みのないドイツ映画、
恒例のキャスト紹介はかなり厳しい状況です(^^;
ご勘弁を。
アレックス役は、ダニエル・ブリュール。
92年頃からテレビ出演。
「Schlaraffenland」「Deeply」(キルスティン・ダンスト出演)
「Schule」「Honolulu」「Nichts bereuen」等に出演(どれも日本未公開)
本作でドイツ映画賞・主演男優賞を受賞。
私生活では、「Nichts bereuen」で共演した
↓ジェシカ・シュワルツと婚約(したらしい)
ママ(クリスティアーネ)役は、カトリーン・ザース。
東ドイツ生まれ。統一以前から東ドイツで女優として活躍。
統一後はテレビ出演が主。
「Heidi M.」でドイツ映画賞などの主演女優賞を受賞。
本作でも主演女優賞候補になった。
ララ役は、チュルパン・ハマートヴァ。
98年スクリーンデビュー。
「ルナ・パパ」「ツバル」
「England!」「コマーシャル★マン」等に出演。
結構カワイイ女優さん。清純派もできそうだし、
悪女もできそうな感じだな。
姉・アリアーネ役は、マリア・シモン。
テレビ出演等も多い。
スクリーンでは「Zoringe Kusse」「My Daughter's Tears」
「Erste Ehe」「Luther」等。
いかにもドイツの女の人!って感じのお姉さんでした。
デニス役は、フロリアン・ルーカス。
カトリーン・ザースも出演している「Hartetest」
「GIGANTIC ギガンティック」「エミールと探偵たち」
「GIRLS★GIRLS」等に出演。
もう、彼の中に私自身を見たというか(笑)
自分のシュミが他人のためになるのなら、報酬はいらない。
ただただ、フィードバックが欲しい。それだけ。
きっと、彼は「巨匠」になるでしょう。(笑)
姉の彼氏ライナー役は、アレクサンダー・ベイヤー。
いくつかのテレビ出演を経て
「Das Mambospiel」でスクリーンデビュー。
「Sonnenallee」「Das Monstrum」
「Heinrich der Sager」「Halbe Miete」等に出演。
結構オトボケキャラ。でも温厚でいい人みたいだった。
「東洋趣味」とはなんぞや?
アレックスのパパ・ロベルト役は、ブルクハルト・クラウスナー。
「交際欄の女」「Kinderspiele」(ウォルフガング・ベッカー監督作)
「悦楽晩餐会/または誰と寝るかという重要な問題」等に出演。
他テレビ出演多数。
作中で、お父さんがどういう経緯で西側へ亡命したかは語られます。
親子の再会シーンは穏やかでいいものでした。
元校長クラプト役は、ミヒャエル・グヴィスデク。
「Spur des Falken」でスクリーンデビュー。
「Mann gegen Mann」「Die Schauspielerin」
「Der Tangospieler」「Der Kontrolleur 」
「Das Mambospiel」「Nachtgestalten」
「Eine Handvoll Gras」「Female2 Seeks Happy End」
「Vaya con Dios」(ダニエル・ブリュールと共演)
「Herr Lehmann」等に出演。テレビ出演も多数。
酔ってへべれけになりながら、アレックスのバイクの後ろに乗せられて
死にそうな顔をしているシーンは最高に笑った。
ハンナ役は、クリスティアーネ・ショルン。
いくつかテレビ出演を経て
「Der Dritte」でスクリーンデビュー。
「Unser Kurzes Leben」「Die Beunruhigung」
「Im Namen der Unschuld」「Irgendwas ist immer」
「Ein Goldfisch unter Haien」等に出演。
クリスティアーネが話す陳情書をタイプしたり、書いたりする近所の人。
ガンスケさん役は、ユルゲン・ホルツ。
ベルリン生まれ。統一前からテレビや映画で活躍。
「Berlin -Ecke Schonhauser」「Das Zweite Leben des F.W.G. Platow 」
「Das Lich auf dem Galgen」「ローザ・ルクセンブルグ」等に出演。
何故か、アレックスがゴミをあさっている所に必ず、顔を出す。
元宇宙飛行士シグムド・イェーン役は、ステファン・ワルツ。
テレビに90年頃から出演。
スクリーンは99年の「Ukulele Blues」が初。
アレックス少年のヒーロー。
統一後はタクシーの運転手をしているのがなんか、悲しかった。
DVDレンタルにて鑑賞
こちら↓にもTBしてます
グッバイ、レーニン!@映画生活
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 8月鑑賞DVD(2010.09.04)
- 7月に観たDVD作品(2010.08.16)
- キング・コング(2006.01.19)
- プルーフ・オブ・マイ・ライフ(2006.01.18)
- レジェンド・オブ・ゾロ(2006.01.14)
「映画:か〜こ」カテゴリの記事
- キング・コング(2006.01.19)
- グッバイ、レーニン!(2004.11.03)
- クライム&チアーズ(2004.10.27)
- コラテラル(2004.10.27)
- グッバイ・ラバー(2004.10.20)
I commenti per questa nota sono chiusi.
Commenti
これおもしろそうですね!
メモとっきます。
Scritto da: 紗吏 | mercoledì, novembre 03, 2004 08:27 PM
おおっ!こちらでも上映あったのですが、観に行けなくて
ようやく今日レンタルしてきたところです。
しかし、午前中に「2046」をかなーり集中して観てから
持病の偏頭痛に見舞われて、未だ観てません。薬でちょっと回復。
後日、観たらTBさせて下さいね。
Scritto da: モン基地の母 | mercoledì, novembre 03, 2004 08:52 PM
☆紗吏さん
いらっしゃいませ!
そうなんですよ、なかなか面白い作品でした。
オススメです。
重いテーマだけど、肩肘張らずに観る事ができます。
☆モン基地の母さん
おひさしぶりです〜。
偏頭痛は治りましたか?お大事になさってくださいね。
私「2046」は未見で終わると思います〜(^^;
監督じゃなくて、クリストファー・ドイルのカメラワークが苦手なので。観てると酔ってしまうんですよ〜。
彼って、グルグルしません?映像が。
「グッバイ、レーニン!」のTB楽しみに待ってますね。
Scritto da: FLUFFY | giovedì, novembre 04, 2004 12:03 AM
これ、おもしろかったですよね!
今自分のページを見たら、感想を書いてなかったみたい...
ドイツ映画といえば、ラン・ロ-ラ・ランかエスしかなかったので、こういうウィットのきいたコメディー風の映画が出てくるとうれしいですよね。
もうちょっと、この時代のドイツを知っていたらもっと面白かったと思いました。
Scritto da: 赤パン | venerdì, novembre 05, 2004 06:13 AM
☆赤パンさん
こんにちはー。
なんだ〜、赤パンさんの感想読みたかったですよ。
ヨーロッパって、本当に国ごとにまるで違うので
そういう意味でも奥が深いなあと思いますね。
Scritto da: FLUFFY | venerdì, novembre 05, 2004 08:03 PM
こんばんは~★
遊びに来るのが遅くなってしまいましたm(__)m
ご覧になったんですね^^ 素敵な作品でしたよねー♪
ラストのお母さんのシーンはもう涙が溢れちゃいました。
すごい心にじーんときましたよね。。
そしてあのお友達君♪彼は最高です~(〃^∇^)o_彡☆
周りの協力があってこその嘘でしたけど、
そうですよね、「いい嘘」でした^^
TBさせて頂きました^^
Scritto da: てるみ | venerdì, novembre 05, 2004 10:23 PM
はじめまして。今後ともどうぞよろしくお願いします。
私もTBさせてください。
あの元宇宙飛行士のタクシー運転手って
なんで~?悲しい。
知ってる役者さんがいないと思いましたが
こんなに活躍しいる方々だったんですね
あの友人キャラ。いいですね。
いや~な奴が出てこない映画は、それだけで好きです。
Scritto da: あまんしゃぐめ | venerdì, novembre 05, 2004 10:45 PM
☆てるみさん
いつもありがとうございます。
観る側を嫌な気持ちにさせない、サワヤカな映画でした。
いろんな人に「いいよ〜」って薦めたくなります。
本当にデニスは面白い友人ですね。
☆あまんしゃぐめさん
いらっしゃいませー。
こちらこそどうぞよろしく!
先日観た「コラテラル」でもタクシーの運転手に甘んじるのか
っていうような台詞があったので、やっぱり宇宙にまで出かけた人が
極普通のタクシー運転手になっているとしたら、とっても悲哀を感じますよね。実際にこういうことってあったかもしれないです。当時のドイツは。
そうそう、嫌な奴は出て来ないですね。
幸せな気分になれる作品でした。
Scritto da: FLUFFY | sabato, novembre 06, 2004 01:15 AM
さるおです。
生真面目に作ったら、重苦しい暗い映画になっちゃうとこでした。心温まる微笑ましい映画になっててよかったですよね。
空飛ぶレーニン像、さるおには、『オースティン・パワーズ』に出てくる"BIG BOY"(わかりますかね・・・たしか冷凍睡眠用のロケットなんですが)に見えました(笑)!
Scritto da: さるお | mercoledì, aprile 06, 2005 02:19 PM
☆さるおさん
「オースティン・パワーズ」(^^ゞ
観てないんですよ〜。残念!
マイク・マイヤーズが苦手なので・・・
でも観てみようかな〜。
Scritto da: FLUFFY | mercoledì, aprile 06, 2005 06:19 PM