モーターサイクル・ダイアリーズ
【プロローグと感想】
喘息持ちで医学生のエルネストは、7歳年上の親友アルベルトと共に
アルゼンチンから、チリ、ペルー、ベネズエラを
バイクで冒険旅行する計画を立てる。
アルベルトのバイク、ボデローサ号が移動手段で
所持金はほんのわずかの無謀にも思える旅。
エルネストとアルベルトが目にし、体験したその先にあるものは...?
******************************
南米のサッカー選手で何人か彼の顔を彫っている、
ベレー帽をかぶり、ヒゲを生やしたちょっと男前。
チェ・ゲバラについて、どのくらい知っているだろうか?
あの顔が、チェ・ゲバラと呼ばれていることくらいしか、知らなかった。
だいたい、名前が「チェ」で名字が「ゲバラ」だとばかり思ってた。
この作品を観て知ったのだけど、「チェ」とは
「おい」とか「ねえ」とかいう呼びかけの言葉なんだそうだ。
親しみを込めて「おい(ねえ)、ゲバラ」って呼ばれていたのだとか。
没後も世界中から親しみを込めて呼ばれる男、
チェ・ゲバラことエルネスト・ゲバラ・デ・ラ・セルナ。
この作品は、まだ青年医学生だった、エルネストが友人に誘われて
南米をバイクで旅する物語。
そこで、彼が観たり、体験したりした事が
後のチェ・ゲバラを作り上げて行く要素にもなるのだけれど、
そういう歴史的背景を知らなくても
「青春ロードムービー」として充分楽しめる。
「青春」なんて言葉を使用してしまったけど、
よく形容される「あまずっぱい」とかそんなもんじゃなくて
汗とホコリにまみれた「男臭い」方の青春って表現するべきか。
喘息持ちなのに、激しいスポーツが好きでまじめな性格のエルネストと
陽気で女好き、ちょっと太めなアルベルトのコンビは
なかなかバランスが取れている。
所持金がほんの少しな為、野宿だし食べ物もない状態で旅が続けられたのは
アルベルトの口八丁手八丁と、
二人の作戦(道中いろいろパターンがあるらしい)によるものだろう。
旅のあちこちで出会う女の人と仲良くなったり、ダンスしたり
時には具合が悪くなったりとエピソードはいろいろ。
時には嘘もつくけれど、誰にも平等に接する姿勢は同じ。
それは、ハンセン病患者に対しての接し方にも現れている。
実際に二人が旅をした順番に移動をして撮影したそうで
実話が元だからもあるけど、ドキュメンタリー映画を観ている様だった。
ペルーのマチュピチュをはじめとする、南米の遺跡や景色も印象に残る。
特に、山岳地域と街のギャップはすごいものがある。
それだけ、そこに住まう人達にも差があるということなのか。
アルベルトに誘われるままに旅に出たエルネストは
目的としては、ハンセン病患者の施設を訪れるという事があったが
その先は恐らく漠然としたものでしかなかったと思う。
旅の途中で出会った、鉱山の夫婦らの境遇を目の当たりにして
何かが変わっていく様子をエルネスト役のガエルは
本当にリアルに演じていた。リアルといえば彼の喘息の発作の演技。
あまりに迫真過ぎて、観ているこっちまで苦しくなってしまった。
ハンセン病患者の施設で迎える24歳の誕生日。
そこで開かれたパーティで、感謝と別れのスピーチをするエルネスト。
そのスピーチを聞いてのアルベルトの表情がとても印象的。
エルネストのこれからが、アルベルトには判ったのだろうか。
【キャスト】
エルネスト・ゲバラ・デ・ラ・セルナ役は、ガエル・ガルシア・ベルナル。
のちの、チェ・ゲバラ。
「アモーレス・ペロス」のオクタビオ役でブレイク、ハリウッドでも注目される。
「天国の口、終わりの楽園。」「ウェルカム!ヘブン」
「アマロ神父の罪」等に出演。
そして、女装もこなし、カンヌで絶賛だったという
ペドロ・アルモドヴァル監督作「バッド・エデュケーション」が楽しみ。
日本では、「ブエノスアイレスの夜」が12/11より公開。
アルベルト・グラナード役は、ロベルト・デ・ラ・セルナ。
エルネストと旅をする、7つ年上の親友。
アルゼンチン出身。キャスティング後に判明したのは、
実際にゲバラのはとこにあたるということ。
エンドクレジットに流れる実際のアルベルトとエルネストの写真。
アルベルトとロベルトはかなり似てます。
映画出演は、「El Mismo amor,la misma lluvia」「Nueces para el amor」等。
他は、テレビを中心に活躍。
チチーナ役は、ミア・マエストロ。
上流階級の娘で、エルネストの恋人。
「タンゴ」で映画デビュー。
「ヴァージン・ハンド」「フリーダ」等に出演。
エルネストの母・セリア役は、メルセデス・モラーン。
アルゼンチンを中心に87年頃からテレビや映画に出演。
「愛の奴隷」(アントニオ・バンデラス主演)「The Swamp」等に出演。
エルネストの父・エルネスト・ゲバラ・リンチ役は、ジャン=ピエール・ノエル。
フランス出身。80年代中頃からのテレビ出演を経て
ヨーロッパを中心に映画出演。
「Valentin」「Forever Julia」「The Roldans」等に出演。
ロサーナおばさん役は、スザンナ・ランテリ。
チチーナの叔母。エルネストとの仲を良く思っていない。
アルゼンチン出身。70年代からテレビ等に出演。
「Let's Play in the World」「The Return of Martin Fierro」
「Count to Ten」「Little House of Light」等に出演。
パパ・カルリート役は、カルロス ’カイトロ’ ソト・デ・ラ・コリーナ。
ハンセン病患者施設のボス。
詳しくは不明だが、どうやらパーカッション奏者?
作中でも椅子みたいな木を叩いてリズム取ってました。
今作が映画デビュー。
シルヴィア役は、アントネッラ・コスタ。
若いハンセン病患者。手術を拒否していたが、エルネストに説得される。
イタリアのローマ出身。
99年にスクリーンデビュー。
「Garage Olimpio」「Sons and Daughters」
「Today and Tomorrow」等に出演。
↓御歳、82!アルベルト・グラナード(本人)。
恵比寿ガーデンシネマにて鑑賞
**
祝日に映画を劇場で観たのは実に久しぶり。
早々に最後の回までソールドアウトに!
とても人気なのね。「年内は確実に上映される予定」だそうです。
そして、恵比寿ガーデンシネマも久しぶりだった。
今年で10周年を迎えるんだとか。
劇場入り口に飾ってあった、歴代上映作が全部載っているポスター。
前半はかなり観たことある作品がたくさんあった。
ここで観た作品は、結構面白いと思ったものが多かったな。
ちょっと懐かしかった。
こちらにもTBしてます
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Commenti
こんばんは。
(俳優さん目当てもアリの)とても見たい映画だったのですが、いかんせん“恵比寿”と、かなり不便な場所で上映されてるのでレンタル待ちを決め込んでました。
FLUFFYさんの記事を見て、「チェ・ゲバラ」は私も姓名だと思っていたので、目がウロコでしたよ。
記事を読んで作品のお勉強にもなったし、まだまだレンタルは先だと思いますが今から楽しみです。
Scritto da: aju | giovedì, novembre 25, 2004 10:09 PM
☆ajuさん
こんばんはー。
ajuさんの所からは恵比寿は不便なのですね。残念。
早くレンタルになったら観て欲しいです。
ガエルはやっぱり上手いですね、心情の変化が手に取る様に判る。
ガエルは例外(彼は中南米出身)らしいですが、監督の意向で出演者は南米出身の俳優ばかりです。なので、恒例のキャスト紹介が非情に乏しいのですが
知らない俳優ばかりなのもあって、更にドキュメンタリーっぽさが
出てた感じはあります。
Scritto da: FLUFFY | giovedì, novembre 25, 2004 10:43 PM
大好きなレッドフォード作品として気になってました
バイクも好きだし魅力十分な作品ですね
よくぞ観てくれたという感じで読ませてもらいました
ただドキュメンタリー系は苦手なのでどうでしょう?!
物語として追えるタイプの作品でしたか?
Scritto da: だにい | venerdì, novembre 26, 2004 09:03 AM
☆だにいさん
そうそう、この作品はレッドフォードが長年温めていた企画なんですよね。
すごく丁寧に描かれていて、いい映画ですよ。
なにしろ、全編スペイン語なのがいい!
嘘っぽくないんですよ、たったそれだけでね。
ドキュメンタリータッチな作りをしてますが、
充分物語として成立してますよ。山場とかもきちんとあるし。
ぜひ観ていただきたいです。
Scritto da: FLUFFY | venerdì, novembre 26, 2004 08:09 PM
普通の青春ムービーとしても,ドキュメンタリータッチな
作品としても,もっと深い作品としても楽しめる,そんな作品ですよね.
すごく完成度が高い作品だなぁ,って思いましたよ.
そうそう.一番最後に出てたのって,アルベルトさん本人ですよね?
Scritto da: onox | sabato, novembre 27, 2004 03:01 AM
いいなぁ~早く観たいです。ずぅ~っと楽しみにしてるのよん。
こちらは12月4日からの上映♪
ただ、こちらも楽しみにしている「らくだの涙」と同じ上映なので時間が気になるところ・・(入れ替え制)
レビュー書いたらじっくり読ませて頂きます(笑)
TBさせて下さいね。
Scritto da: モン基地の母 | sabato, novembre 27, 2004 03:01 PM
↑という事で観てきましたよ
今年のトップはコレです、単純に大好きです。
久々に映画の日意外に劇場でお金を使いましたが大正解!
>ぜひ観ていただきたいです
に感謝です!天気もよかった事もあり勢いが付きました
テレビなんかで観て欲しくないな、という感じでしたね。
バイク欲しいなー「ポデローザ号」かっこよかった(笑)
Scritto da: だにい | sabato, novembre 27, 2004 07:54 PM
☆onoxさん
そうですよー、ラストに映る人は実際のアルベルト・グラナード氏本人です。
まさかご本人が映画に出演するとは思ってなかったので、びっくりでした。
粋な終わり方ですよね。
☆モン基地の母さん
そちらでは、これからなんですね!
とても丁寧に作られている作品でした。おすすめですよ。
女の人はもちろんですが、男の人にぜひ観てもらいたい映画ですね。
ご覧になった後の記事、楽しみにしてますよ!
☆だにいさん
普通の金額で観た映画で、いいと思えると本当に嬉しいですよね。
おすすめした映画が、だにいさんの中で「今年のトップ」になるとは。
私も嬉しいです。
あのポデローサ号は、バイクなのになんか人間味ありましたね。
大画面だと、あの二人と一緒に旅している感じになるのでしょうね。
Scritto da: FLUFFY | sabato, novembre 27, 2004 09:17 PM
TBありがとうございます。
皆さんの感想を興味深く拝見させていただきました。
観覧後「まっすぐに生きるべし!」と励まされたような気がします。
Scritto da: 771 | lunedì, dicembre 13, 2004 02:23 PM
TB&コメントありがとうございました。
この映画は、久々に心が熱くなる映画でした。
単純な私は、熱くなりすぎてしまい、
思わずゲバラ関連の本を読みまくりました(笑)
その後2回目の観賞でようやくストンと心に落ちました。
間に挟みこまれる詩や手紙もまた、この映画のアクセントになっていて好きです。
各映画のキャストの詳細、すごいですね!
参考になります。また寄らせていただきますね♪
Scritto da: さち | lunedì, dicembre 13, 2004 03:15 PM
☆771さん
コメント遅くなってしまいました。
自分が今年観た映画の上位にこの作品は入るでしょう。
☆さちさん
いらっしゃいませー。
コメント遅くなってすみません。
二回鑑賞されたのですね。
間にふと出てくる詩、詳しくは知らないけど
名前だけは知っている人の作品も出てきたりして
面白かったです。
Scritto da: FLUFFY | martedì, dicembre 21, 2004 11:19 AM
彼にはゲバラの将来がきっと見えたんでしょうね。
スピーチを聞いている時の何とも言えない表情がとても良かった。
そして、彼ってば役作りのためにかなり太っていたらしく
実は結構格好いいことに最近気付いた私です(笑)。
もちろんガエル君にはかないませんが。
Scritto da: るるる@fab | lunedì, dicembre 27, 2004 10:11 PM
☆るるる@fabさん
そうなんですよね、アルベルト役のロベルト・デ・ラ・セルナは案外かっこいいんですよ〜。
小動物系のガエル君と比べると、確かに大柄だけど。
役作りの為にウェイトを増やしたって話は
どっかで読んだことありますよー。
今後の彼に期待します。
Scritto da: FLUFFY | martedì, dicembre 28, 2004 08:05 PM
TBいただきありがとうございます。
目一杯お世話になっております、どうもスミマセン。
この映画もとても好きな1本です。いつも勝手放題言い放題の我儘blogですが、何卒今後共よろしくお願い致しますデス!
Scritto da: ツボヤキ★ | mercoledì, gennaio 05, 2005 02:47 AM
☆ツボヤキ★さん
いえいえ、こちらこそー。
いつもありがとうございます。
ツボヤキ★さんのエントリは
とっても読み応えがあって面白いです。
これからもよろしくお願いいたしますね〜。
Scritto da: FLUFFY | mercoledì, gennaio 05, 2005 03:43 PM